雨漏り修理に火災保険が適用される条件として重要な11つのポイント

2021年5月30日

雨漏り修理に火災保険が適用される条件として重要な11つのポイント
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雨漏り修理を火災保険を使って直したけど、適応される条件やポイントを知りたい。
火災保険で修理するために必要なことは?
雨漏りと火災保険について基本的なことから分かりやすく知りたい!
 

こんな疑問にお答えします!

「雨漏りの修理費用20万円!?」「急にそんなに払えない」

雨漏りしているというだけで焦ってしまうのに、修理業者に依頼した場合、雨漏り修理にかかる費用は一般的に数万円から数十万円、場合によっては100万円超にも上ります。

DIYが流行っている昨今、自分で修理せば安上がりかなと考える方もいらっしゃると思いますが、雨漏りを素人が自力で直すのは、高所での作業となりますので大変危険ですし、直せたつもりでも余計な穴を残してしまうこともあります。ですので、やはり修理業者にお任せするのが安心・安全です。

「予定外の大出費が痛い」とお考えの皆さん、まずは落ち着いてお手元の火災保険の契約書を確認してみましょう。なんと、契約内容によっては、雨漏り修理の費用を火災保険で賄えるかもしれません。

ただ、雨漏り修理に火災保険を使えるなら嬉しいけれど、必ず保険金をもらえるのか不安ですよね。契約書に書いてあることは専門用語があったり読みにくい書き方がされていて意味がわかりにくいし、印字も小さいし…と、雨漏り修理に火災保険が適用されるのか否か、その条件がわからないとお困りの皆さんのために、今回の記事では、雨漏り修理に火災保険が適用される条件として重要なポイントを11個に絞って解説したいと思います。

15年以上たくさんのお客様のお家のメンテナンスをトータルでお手伝いしてきた経験から、お得に雨漏り修理をするための情報を出来るだけ分かりやすくお伝えしますので、ぜひ最後まで読んで下さい。

雨漏り修理に火災保険が適用される条件として重要な11つのポイント

結論から言うと、雨漏り修理に火災保険が適用される条件として重要なポイントは次の11個になります。

①補償内容に「風災・雹災・雪災」が含まれていること
②今回の雨漏り被害が風災・雹災・雪災のいずれかで生じたこと
③雨漏りの原因となっている破損であること
④雨漏り被害が発生したときからの経過期間が期限内であること
⑤修理費用が所定の損害額以上であること
⑥補償上限額以下であること
⑦修理費用総額が確定してから請求すること
⑧火災保険契約者本人が請求手続をすること
⑨火災保険認定修理業者というようなものは特にないこと
⑩火災保険又は火災共済であること
⑪適用の可否に争いがある場合は訴訟を提起して裁判所に認めてもらうこと

では、この11個のポイントについて、1つずつ丁寧に平易な言葉で説明していきます。

①補償内容に「風災・雹災・雪災」が含まれていること

雨漏り修理に火災保険が適用される条件として11の重要なポイントの1つ目は、補償内容に「風災・雹災・雪災」が含まれていることです。

火災保険とは、名称に「火災」とあるためにしばしば勘違いされる方が多いのですが、決して火事による損害だけを補償の対象とするものではありません。

火災保険は、火災だけではなく、建物自体と建物内にある財産が様々な自然災害によって被害を被った場合にも適用される保険です。

もちろん、一口に火災保険といっても様々な保険会社が多様なプランの火災保険を提供しているため、補償範囲にも差がありますが、大抵の火災保険では地震以外の自然災害による被害が火災保険の適用対象となっております。

雨漏りの原因となる屋根や外壁などの損傷の場合は、原因が台風などの暴風雨や強風、大雨、雹などの自然災害によって生じたものであるときに補償対象となります。

なお、台風や豪雨の結果、川が氾濫したり水がたまって床上浸水したとか、土砂崩れによる衝撃で建物が損傷したというような場合は、降ってきた雨や吹きつけてきた風が建物に直接当たったて被害が生じたのではなく、一旦地面落ちてたまった水によって引き起こされた「水災」とみられるため、必ずしも風災として補償の対象になるとは限りませんので、ご注意ください。

②今回の雨漏り被害が風災・雹災・雪災のいずれかで生じたこと

雨漏り修理に火災保険が適用される条件として11の重要なポイントの2つ目は、今回の雨漏り被害が風災・雹災・雪災のいずれかで生じたことです。

では、風災・雹災・雪災とは何でしょうか?雹災・雪災は読んで字の如くでして、雹災とは雹(ひょう。雪よりも大きな氷の塊)によって屋根や外壁に穴が空いた・ひびが入ったなどの場合であり、雪災とは、大雪の重みで屋根に穴が空いた・外壁がヒビ割れた・雨どいが壊れた・瓦が外れたなどの場合です。

風災とは、もちろん台風や強風により屋根が吹き飛ばされた場合や余所から飛来物が屋根や外壁にぶつかって穴が空いたなどの場合が含まれますが、それだけでなく、大雨で雨どいが壊れたことにより水が軒を伝って屋内に侵入したというような場合も含みます。

火災保険によっては、「風災」の範囲に雹災・雪災を含むと規定している場合がありますので、ご契約の火災保険の契約書の中の、用語の定義を定めた部分をよくご確認ください。

適用条件に該当するかどうかは、保険会社の依頼を受けたプロの損害鑑定人か保険会社の担当者が実地調査(現場調査)をし、損害状況をみて自然災害による被害なのか否か、損害額はいくらかなのかを算定・判断して保険会社に報告します。かなり重要なことですが、ご自分で見る限りはこれらに該当するように思われたとしても、保険会社の担当者の実地調査で該当しないと判断されて保険金が下りないこともありますので、自己判断で保険が適用されるはずだと思い込まないようにしてください。

このような場合の対応方法については、下記⑪で改めて詳しく解説します。

一方、これらのような原因以外の原因によって生じた雨漏りの場合は、それを適用対象とする旨の特約がない限り、通常は、火災保険の対象となりません。

①で述べた床上浸水や土砂崩れによる水災もそうですし、例えば、単なる経年劣化でヒビなどが生じていて雨漏りに至ったケース、屋根や外壁の塗装などのメンテナンスを長年怠っていたために発生していたヒビが雨ざらしになっていたり、木材が腐食したりして雨漏りが生じたケースでは火災保険の対象となりません。

劣化が著しい場合、自然災害で屋根がつぶれても、劣化が原因だと保険会社が主張してくる可能性もあります

また、新築にも関わらず災害もないのに雨漏りした場合は初期不良の可能性が高く、このような場合には火災保険の対象となりませんが、建築会社に対して修補請求や追完請求、修理費用相当額の損害賠償請求をするなどの対応をすることができます。

これはリフォーム時の工事業者の失敗の場合も同様であり、雨漏りを生じた屋根や外壁等をリフォーム業者が工事したのであれば修補請求や追完請求、修理費用相当額の損害賠償請求を、雨漏りを生じた屋根や外壁等については工事していないけれどリフォーム工事による何らかの影響でひびが入った、瓦が外れたなどの場合にはやはり修理費用相当額の損害賠償請求をリフォーム業者に請求することができます。

屋根や外壁の塗装時のミスもそうですが、最近多いのが、太陽光発電パネル設置時の施工ミスでして、これもリフォーム業者と同様の対処法となります。

また、状況を見る限り、風災・雪災・雹災による雨漏りと判断が出来ない場合も、適用条件を満たしているとはいえないので、保険金が下りません。

火災保険に適用されやすい例としては、台風直後から雨漏りが発生したとか、新築後数年経過してから雨漏りし始めた場合があります。

経験則から、強風による破損の可能性が高いと考えられます。

一方、新築でも建築直後から雨漏りしているのであれば当初から欠陥があったと考えるのが自然です。10年以上もメンテナンスをしていない場所が原因の雨漏りだと、経年劣化だと判断されやすいようです。

③雨漏りの原因となっている破損であること

雨漏り修理に火災保険が適用される条件として11の重要なポイントの3つ目は、雨漏りの原因となっている破損であることです。


火災保険の補償対象は、雨漏りの原因となっている屋根や外壁等の破損ですので、雨漏りが生じたことによる被害は適用対象となっていないことが多いです。

言い換えると、雨漏りの二次被害には適用されない可能性が高いということです。

雨漏りの二次被害としては、天井から滴ってきた水によって、書籍が汚れたり、電化製品が壊れたり、服にシミが出来たり、タンスが腐ったり、というようなケースが考えられます。

このような家具や衣類などの家財の被害は、家財保険の中の水災補償の対象であって、火災保険の対象とならないことが多いです。

もちろん、契約内容によっては、こういった家財の被害も火災保険の補償内容になっている場合もあります(特約つまりオプションとして付いている場合もあります)。

ですので、契約書をよく読み、保険会社に問い合わせてみましょう。

④雨漏り被害が発生したときからの経過期間が期限内であること

雨漏り修理に火災保険が適用される条件として11の重要なポイントの4つ目は、雨漏り被害が発生したときからの経過期間が契約の期限内であることです。

雨漏り被害が発生したにもかかわらず保険金請求をしないまま何年も過ぎてしまったという方もいらっしゃるのではないでしょうか。

そのような場合、契約内で取り決められている請求期間を経過すると請求する権利を喪失しますし、法律によっても請求権が時効消滅してしまいます。

一方、修理してしばらくしてからこの記事を読むなど、雨漏りの修理費用を火災保険で賄える可能性があることに気づいたり、「そういえば請求するのを失念していた」というような場合、期限内であれば、修理時点から多少時間が経っていても保険金を請求することができます。

なぜこのような期限が設けられているかといいますと、もともと建物は時間の経過とともに劣化・老朽化していくものですし、損傷箇所も時間の経過とともに黒ずんだり腐食が進んだりしていきますので、雨漏りの原因となっている屋根や外壁などの損傷が自然災害による災害なのか老朽化によって生じたものなのかを特定することが難しくなってしまい、判断できなくなってしまうためです。

大抵の火災保険の場合、被害に遭ってから3年以内としていることが多いです。

ですので、余裕はありますが、時間が経過すると原因が何だったのか特定することが難しくなり、保険が使える可能性が低くなりますので、お早めに申請することをおすすめします。

保険会社によってはもっと早い期限を設定している場合もありますので、契約書の該当部分をご確認いただくか、保険会社の担当者にお問い合わせください。

⑤修理費用が所定の損害額以上であること

雨漏り修理に火災保険が適用される条件として11の重要なポイントの5つ目は、修理費用が所定の損害額以上であることです。

大抵の火災保険は、修理費用が一定額以上にならない限り保険金が下りないとしています。注意していただきたいのは、修理費用が一定額以上になった場合にいくら保険金が下りるのかには2パターンがあり、その一定額も含めた金額が下りるものと、一定の自己負担額(面積額ともいいます)を差し引いて下りるものがあるということです。

わかりにくいところですので、具体的な金額で申しますと、前者の例で特に多いのは、損害額が20万円以上の場合でありまして、修理費用が19万円の場合は保険金は下りませんが、21万円の場合は21万円が下りるというものです。

一方、後者の場合、自己負担額を20万円とすると、修理費用が19万円の場合は保険金が下りないことは同じですが、21万円の場合は1万円しか下りないことになります。

ご契約の火災保険がどちらのタイプかを契約書でよくご確認ください。

⑥補償上限額以下であること

雨漏り修理に火災保険が適用される条件として11の重要なポイントの6つ目は、補償上限額以下であることです。

修理金額がかなり高額になった場合、他の適用条件を満たしていたとしても、補償上限額までしか保険金は下りません。補償上限額を超える金額については、自己負担になります。

例えば、損害額1000万円まで補償としている火災保険に加入していて、修理費用が1200万円だったとすると、200万円は自己負担となります。

⑦修理費用総額が確定してから請求すること

雨漏り修理に火災保険が適用される条件として11の重要なポイントの7つ目は、修理費用総額が確定してから請求することです。

突然の出費であり、保険金が下りるまで日数もかかりますし、必ずしも保険金が下りるとも限ならないことから、焦って保険金の請求手続を見積もり段階でしてしまう方もいらっしゃいますが、まずは落ち着いて、修理費用総額が確定するのを待ちましょう。

なぜかと申しますと、実際に工事に取りかかってみて、追加で材料費が必要になったり、天候悪化などの事情から工事日程が延長になって追加費用が発生した場合、もし先に請求をしていたとすると、請求手続をやり直さなければならなくなったり、保険会社によっては追加費用分の保険金が支払われなかったりすることになりかねません。

一方、保険金が下りるものと思い込んで保険会社に何の確認もせずに工事を発注した場合、結果的に火災保険の適用対象にならないこととされて困ることになるおそれもありますから、台風が迫っているとか、雨漏りの状況がひどいなどの緊急の事情がない限り、工事を正式に発注する前に保険会社に相談しましょう。

ただ、保険会社の中には、プロの損害鑑定人を派遣せず、単なる一般職員である担当者を実地調査に派遣してくる会社もあり、そのような場合は、雨漏りの原因が何なのかについて修理業者の意見を聞きたがりますので、見積もりも兼ねて先に修理業者に見に来てもらうとスムーズに手続が進みます。

できれば火災保険が適用された修理工事の経験がある修理業者を選んだ方が、修理業者の方でも請求手続の流れを把握していますので、スケジュールや手順を考慮してくれます。

特に、請求手続に必要な書類の中に、事故状況報告書とか修理費見積書というような内容の書面があり(保険会社によってタイトルは異なります)、修理業者に記入してもらう必要のある欄もあります。

修理業者の方が、必ずしも書類の記入に協力してくれるとは限らず、断られることもありますので、早い段階でそのような書類の記入をお願いし、断られるようであれば他の修理業者に変更することも検討しましょう。

特に、既に契約してしまった後に修理業者を変更しようとした場合は、材料の手配などが始まっているので、解約料を請求されることもあります。

ですので、見積もり段階で、保険会社の担当者と工事担当者に連絡しておき、よく相談して、例えば、いくらまで保険金が下りそうなのかの見込を聞いたり、工事会社からの請求を保険金が下りるまで待ってもらうよう交渉するなどしておくにとどめましょう。

通常、こういった工事の修理費用の支払いは、工事終了後(当日とは限りません)に正式な請求書を渡され、それから支払うという流れになりますので、保険金が下りるのを待つ余裕はあるはずです。ですので、保険金の請求手続は、工事が終わって修理費用の総額が確定してから申請しましょう。

⑧火災保険契約者本人が請求手続をすること

雨漏り修理に火災保険が適用される条件として11の重要なポイントの8つ目は、火災保険契約者本人が請求手続をすることです。

修理業者の中には、「うちが火災保険の申請までしておきます」という者もいるようです。しかし、保険の各種手続は契約者本人しかできないことになっており、修理業者が手続を代理したのでは保険会社も受け付けてくれません。

そのため、このような申出をする修理業者は、サービス精神が高い割に保険についてよくわかっていない業者の可能性もありますが、大概は別の目的のために申請書や署名押印を取得したり保険金を騙し取りたい悪徳業者でしょうから、別の修理業者に依頼することも検討した方がよいでしょう。

⑨火災保険認定修理業者というようなものは特にないこと

雨漏り修理に火災保険が適用される条件として11の重要なポイントの9つ目は、火災保険認定修理業者というようなものは特にないということです。

保険会社自体が特に公表しているのでない限り、火災保険対応修理業者とか火災保険認定修理業者というような、保険金が下りるのに有利な修理業者というものはありません。

火災保険は契約内容に従って、適用条件を満たしたときに保険金が下り、満たさなければ下りないというもので、その条件の中には特定の修理業者が修理したことというのは通常はありません。

仮にそのようなことを謳っている修理業者が来た場合には、保険会社に相談したり、消費者センターに通報したりしましょう。

⑩火災保険又は火災共済であること


雨漏り修理に火災保険が適用される条件として11の重要なポイントの10個目は、火災保険又は火災共済であることです。

火災共済とは、火災保険と異なり、保険会社ではなく、JAなどの団体が運営しているものです。有名なところでは、都民共済や県民共済、全労済、JA共済があります。

火災共済も基本的には火災保険と同様なのですが、掛け金が安いことからもわかるように、火災共済の場合は補償内容(適用範囲)や補償金額が小さいため、上記で説明したことがそのまま当てはまるとは限りませんので、ご注意ください。

特に、修理費用を賄えるほど共済見舞金は下りないかもしれません。

⑪適用の可否に争いがある場合は訴訟を提起して裁判所に認めてもらうこと


雨漏り修理に火災保険が適用される条件として11つの重要なポイントの11個目は、適用の可否に争いがある場合は訴訟を提起して裁判所に認めてもらうことです。

契約者ご本人の目から見て、あるいは知る限り、今回の雨漏りが火災保険の適用条件を満たしていると思われるのに対し、保険会社の担当者が適用条件を満たさないとしていて、納得できない場合は、管轄の地方裁判所に対して保険金支払請求訴訟を提起し、勝訴の確定判決を得ることができれば、保険金を支払ってもらえます。

その際には、今回の雨漏りがご契約の火災保険の適用条件を満たすことを立証するに足りるような、契約書のほか現場写真などの証拠が必要となります。

最後に…

まとめ最後まとめに入りますが、雨漏り修理に火災保険が適用される条件として重要なポイントは次の11つです。


①補償内容に「風災・雹災・雪災」が含まれていること
②今回の雨漏り被害が風災・雹災・雪災のいずれかで生じたこと
③雨漏りの原因となっている破損であること
④雨漏り被害が発生したときからの経過期間が期限内であること
⑤修理費用が所定の損害額以上であること
⑥補償上限額以下であること
⑦修理費用総額が確定してから請求すること
⑧火災保険契約者本人が請求手続をすること
⑨火災保険認定修理業者というようなものは特にないこと
⑩火災保険又は火災共済であること
⑪適用の可否に争いがある場合は訴訟を提起して裁判所に認めてもらうこと

それぞれの概要はここまでお話した通りですが、雨漏りの原因、補償内容、修理費用によって多様なパターンがありえますし、申請手続の流れもご契約の保険会社によって異なりますので、契約書をしっかり検討し、保険会社の担当者様ともよく話し合うことによって納得度や万が一のトラブル時に結果が大きく変わる可能性があります。

今回の記事でご紹介した観点以外にも雨漏り修理に火災保険が適用される条件として重要なポイントには様々なものがありますが、これから雨漏り修理費用への火災保険適用を考えている人にとって少しでも参考になれば幸いです。